メディオンは、シンビオスの頬が好きだ。 いや、勿論恋人であるシンビオスのことは総て好きだが、特に頬の感触が好きだった。 まだ硬くない----成長しきった自分の頬に比べると、である。そして柔らかすぎない。この適度な弾力が、触っていると心地いい。 ちなみに、シンビオスは唇も同様だ。少し厚めでぷにぷにしている。メディオンの唇は薄い方なので、自分で触れてもあまり楽しくない。 それで、気が付くと、メディオンはシンビオスの頬や唇を触りまくっているのだった。 夜。 ベッドの中で抱きしめると、シンビオスは一瞬身を固くする。 無論、嫌がっているのではない。この先に続く行為を感じて羞恥の気持ちが湧きあがっているのだと、メディオンは承知している。 いい加減慣れても良さそうだが、元々ストイックな性格なのでついそういう反応をしてしまうのだろう。それに、本当に一瞬である。すぐに力を抜いて、シンビオスはメディオンに、甘えるように抱きついてくる。 メディオンはシンビオスの頬を----丁度いい感触の頬を掌で包んで、顔を仰向かせる。そして、弾力のある唇に自分のそれを重ねる。 シンビオスの唇は、唇で触れても心地いい。 その感触を楽しみながら貪っていると、だんだんとシンビオスの吐息が乱れてくる。メディオンの背中に廻した腕に力が入り、長い金の髪を指先に絡めていく。 この頃になるともうシンビオスの中から、理性やら羞恥心やらは溶け出している。 メディオンは他のところにも口付けを落とした。 シンビオスは、火照った頬をメディオンの胸に押し当てた。 メディオンの胸も熱い。そして丁度いい硬さだ。しっかりと受け止められている感じがして、安心する。 メディオンの指先が、シンビオスの頬に触れた。押しつけたり、軽く摘んだりしてくる。時折唇にも伸びてきて、同じようにする。まだ愛撫が続けられているようで、くすぐったい気持ちになる。 シンビオスはメディオンの指が好きだ。 勿論、他にも好きなところは沢山あるが、特に指が----指に触れられるのが好きだった。 今みたいに頬や唇を愛撫し、あるときは優しく髪を梳いてくれる。そしてあるときは、シンビオスから熱を引き出していく。 その指が唇に戻ってきたとき、シンビオスは舌先でそっと触れた。 メディオンはちょっと笑うと、指を離して唇を寄せてきた。 この唇も、シンビオスは好きだった。薄くて安定していて力強い。 2人は、しばらく相手の唇の感触を味わっていた。 やがてうっとりと見つめ合い----結局、一番好きなのは『本人』だと気付く。頬とか唇とか指とかは、彼の一部なのだ。 メディオンとシンビオスは微笑みを交わし、またどちらからともなく唇を触れ合わせた。 |