〜Connect hand〜 ピアノを弾く趣味があるわけでもないのに、とても長くてキレイな指をしている。不思議な温かさと、広大な海のような蒼い、澄んだ瞳に見惚れて、自然に降りてきた口唇に吸い込まれるように目を閉じる。 金糸の髪を指で遊ばせると、その手を包まれて微笑まれた。心臓が止まるかと思うくらいにキレイ過ぎる笑顔。こういう時に、強く自覚して認識して、確信するのだ。どれだけこの人を愛しているのか。 最近。もしかして、こんなにもこの人を愛して、必要としている自分の気持ちが、ひょっとしたら一方通行なんじゃないかって思うようになってしまっていた。 だって、あまりにもキレイだから。この人が、あまりにも純粋な美しさを持っているから。何の取り柄もない自分なんかを、こんなにも他人を魅了してやまないこの人が、愛してくれているのだろうかと、不安になってしまうから・・・。 「・・・キレイ・・・」 「キレイですね。」 建国記念祭を彩る数多もの花火が、夜空に明るく咲き乱れて。それを眺める横顔に無意識に口にした言葉を受け止められて、ハッと我に返った。 今更、花火が、ではなくて・・・なんて言えるはずもないので、自然と上気してしまった頬を気付かれないように俯いた。 「手、握りませんか。」 「えっ?」 突然、何の前触れもなしに、脈絡さえ感じない言葉が頭上から降って来て、驚いて顔を上げる。そうすると、あの瞳とぶつかった。1番最初にこの心を奪い去って行った瞳と。 「あの・・・」 「手を繋ぎましょう。離れ離れにならないように。」 「・・・?」 「すみません。心配性で、スグに不安になっちゃうモノで・・・。」 「・・・!」 戸惑う手を、優しく包み込まれて初めて気づく。 自分が思っていた以上に・・・この人は、自分を愛してくれていたのだと。 手を握られて、そのまま肩を抱かれて腕の中に閉じ込められて、抱きしめられて。一方通行なんかじゃなかったと、ほんの少し目の奥が熱くなった。 「手、ずっと繋いでいましょうね。」 「・・・はい。」 キュ、と握られて、少し・・・口元が綻んだ。 肩の力がスッと抜けた。 でも、握る手だけは・・・いつまでも強かった。 解れないように、 ずっと側にいられるように。 そしてそれはまるで、2人のキズナを守るかのように・・・。 Fin あゆみ様の、素晴らしいSSでございます。 |