メディオンの傍にいると、シンビオスは平静ではいられなくなる。
 胸がざわざわとざわめいて、それと連動して身体の奥深いところが熱くなってくる。
 この感覚を、シンビオスはどう表現して良いか解らない。一番近いのは‘恥ずかしい’だろうか。だが、‘恥ずかしい’という感情には少なからずマイナスの意味がこもっているが、シンビオスのメディオンに対する想いに、マイナスなどは存在しない。
 なのに、何故かメディオンといると、シンビオスは落ち着かなくなる。
 今も----メディオンの腕の中にくるみ込まれて、シンビオスは身の置き所がないほど冷静さを失っていた。ただ抱きしめられているだけでなく、何度も熱いキスを受け、合間に耳元で甘い言葉を囁かれる。顔が酷く熱い。きっと真っ赤になっているだろう。
 メディオンの手がシンビオスの服の裾から入り込み、背中や脇腹を弄り始めた。
 シンビオスはますます萎縮した。身体に力が入る。メディオンの背中に廻していた手が、彼の服をぎゅ、と握りしめた。
「----シンビオス、…厭なの?」
 シンビオスの耳に唇を這わせながら、メディオンが訊く。
「----……………」
 声が出てこなかったので、シンビオスは無言のまま首を横に振った。
「そう」
 含み笑いを漏らして、メディオンは行為を続けた。いや、むしろエスカレートさせてきた。左手でシンビオスの胸元を探りながら、右手は腿に伸びてきて----そのまま掬い上げる。
「----っ」
 メディオンの右手がかなり際どいところに到達してきた。立っているのが辛くて、シンビオスはメディオンに更に強くしがみついた。彼の肩に額を押しつけ、目を閉じる。----

 ----足下がおぼつかないシンビオスを、メディオンはソファに運んだ。自分も隣に腰を下ろす。
「----紅茶でも入れようか?」
 メディオンは優しく尋ねた。
 シンビオスは首を振って、
「今はいいです。…まだ…」
 メディオンの方に身を寄せた。
「…もう少しこうしていたいです」
 メディオンはシンビオスの肩を抱いた。
 シンビオスの胸が震える。あの感情が身体を駆け巡っていく。
 この感情を言い表す言葉をシンビオスは見つけられないでいるが、そんなのは所詮些細なことでしかない。メディオンといるときにだけ湧きあがってくる特別な想いだと、それだけ解っていれば充分だ。
 満足げな吐息を一つ漏らしてから、シンビオスは顔を上げてメディオンを見た。メディオンの優しい瞳がシンビオスを見つめている。メディオンの唇を、シンビオスは喜びと共に受け止めた。


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