ソファに押し倒されたとき、シンビオスの頭に一瞬、ここで? という考えがよぎった。
 しかし、メディオンの巧みなキスと、心地よい身体の重みを受けているうちに、そんなことはどうでもよくなってしまった。
 それに、もしここでメディオンを押しとどめてしまったら、きっと彼はやめてしまう、という予感があった。
 真面目なシンビオスだが、年頃の健全な男子でもある。メディオンと未知の世界に進んでいくのが怖い反面、進まないのにももどかしさを覚えていた。今も、もしメディオンが行動を起こしてくれなかったら自分の方からいってみよう、とまで考えていたほどだ。
 そう、シンビオスにとって怖いのは『未知の世界』であって、『メディオン』ではないのだ。むしろ、メディオンとならどこまででも進んでいけると思う。
 シンビオスはメディオンの肩に腕を廻して、彼がくれる総てを受け入れた。

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