「ちょ、ちょっ…と待って…ください」
 激しいキスの合間に、シンビオスは言った。
 メディオンはキスをやめ、シンビオスを見つめた。少し哀しそうな眼をしている。
 しまった、と思い、シンビオスは慌てて続けた。
「ここではちょっと…。…寝室に行きましょう」
 メディオンは起き上がった。
「嫌じゃ…なかったんだね?」
 ほっとしたような声を出す。
「嫌だなんて、そんなこと…」
 シンビオスも起き上がってメディオンを見つめた。
「メディオン王子になら、ぼくは…」
「シンビオス、嬉しいよ」
 メディオンは再びシンビオスを抱き締めて口付ける。
「…ん、…王子、…だから…」
 またしてもシンビオスはキスの合間に言葉を発する。
「…ああ、ごめん」
 メディオンは小さく首を竦めた。その姿を可愛らしく感じ、また愛おしく思いながら、シンビオスはソファから立ち上がった。
「じゃあ、行きましょう」
 メディオンに手を差し出す。
「うん」
 メディオンもその手を取って立ち上がる。
 シンビオスの寝室は、幸いなことに今いる部屋のドアを隔てた隣だ。2人は手を繋いで、その扉を通った。
 そしてーーーーベッドの上でさっきの続きを心置きなく再開したのだった。

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